共和国共同の経済政策:その道への過程

 共和国の経済は悪化の道を歩んで、いや走りぬけようとしていた。

 物価の上昇、貨幣の価値の暴落、戦争で加速したインフレ。このままでは貨幣の価値(信用)がなくなり、デノミの道をたどることになる。しかし、問題はデノミをすればいいわけではない。デノミを行えば一時の解決にはなるかもしれない。しかし、直後に起こるであろう経済の混乱、治安悪化や便乗値上げなどにより、不景気や恐慌を呼ぶかもしれないのである。デノミは劇薬である。使い方を間違えれば共和国に毒となる可能性も高い。使わないで解決できれば御の字である。

 共和国各国はデノミをせざるを得ない状況になる前に経済を建て直す為の準備を開始した。経済は一国だけで建て直すわけではない、各国協力にて行う、それは今回の経済政策の第一の条件であった。

 共和国全体大統領府主導で行われた経済政策は慎重に行われた。食料をはじめとした物価の上昇や不景気による治安悪化等早急な対策が望まれたが、急いで対策を行い、急激な経済活性化の反動で恐慌を起こすなどのぶり返しを恐れたのである。それぞれの国でそれぞれの経済状況がある。実際に各国の状況を調べ、経済専門家の意見を聞き、慎重な対応を目指したのである。必死な気持ちを抑え、各国首脳陣は冷静に行動を開始した。


 経済は各国により状況が違う。経済が好調な国もあれば、いつ不安定になってもおかしくない国もある。まず大統領府は各国に調査員を派遣し、実際の状況を足で調べ始めたのである。
大統領府は専門家として鍋の国の経済専門家(※1)に協力を要請。各国の政庁と協力体制を整え調査を開始した。
※1:銀内ユウが経済専門家(職業)を取得しているため、鍋の国の設定国民にも経済専門家がいます。


共和国共同の経済政策:経済対策チームの結成

 共和国の経済対策。その為に各国の代表や鍋の国の経済専門家を集めた経済対策チームが結成された。彼らは経済政策の為にいくつもの前準備を行った。

共和国全体の経済ともなれば様々な統計データや資料が必要になる。国の調査報告書などの資料はもちろんであるが、各国の実地調査も必要だった。実際の市場に向い実地調査やアンケート(市場調査)も行ったのである。一つの国ではなくより大きな大統領府主導の政策ともなれば、細かい所に手が行かないかもしれない。しかし、できるだけ各国の状況に合わせた経済政策を行う為にもこの調査に力を入れたのである。

集まった情報は大統領府に集約され、専門家の検討が始まった。経済専門家はもちろんであるが、各国の代表もチームに入れられているのはこの検討が理由でもある。経済については専門家の方が知識が深く、詳しいだろう。しかし、実際に政策を運用してきた各国の代表もまた、経済を実戦で運用してきたプロである。経済をI=Dとするならば、経済専門家は整備士、各国の代表はパイロットである。二つの力を合わせることにより、大きな力を引き出せるのである。
また、検討だけでなく経済の勉強会もひそかに行われた。この勉強会は専門家の意見を聞くという面もあったが、各国の実際の経済政策の施行やその過程で得た経験を経済専門家が聞き、実際の体験談としての話を聞くことにより、経済専門家達が経験という知識を得ることにより、今回の大統領府主導の経済政策にフィードバックを行うという考えがあった。互いに違う面で経済に詳しいのならば、その二種類の知識を足せば数式では1+1=2になる。しかし、その知識を各国でフィードバックすることにより、2ではなく、3,4と答えが変わっていく。今回の経済政策をより効果的に、そして明日の共和国の経済を守る為への布石とする場として勉強会を行ったのである。



共和国共同の経済政策:経済対策チームの基本姿勢

貨幣の価値が暴落している今、必要な経済政策は緊縮財政である。しかし、緊縮財政といっても、ライフライン、生活に関わる部分も緊縮しては物価の上昇もあり、各国このままでは国民に絶望の地獄を与える形になる。直接のライフラインにかかわる部分は、国庫解放、配給制を導入。共和国全体で統制価格を行った。自由化のままだと、大きなインフレとなる可能性が大きいためでもあり、これらを前提に、各国で食糧・燃料の輸送を行い融通しる計画が立てられた。
この統制価格、配給制により基本的な生活基盤を作りつつ、徐々に統制を自由化に戻していく方針である。自由化のタイミングについては各国の事情を踏まえつつも経済の専門家達と相談しつつ調整を行い、随時方針を共和国国民へと広報を通じて伝える形となっている。

これが共和国共同経済対策の基盤である。この経済対策チームには共和国では数少ない経済専門家も鍋の国より加わって励んでおり、各国首脳部と連携した上で立案、実行を行っている。一国の経済を活性化するのではなく、各国の経済を活性化する。それが最終的には各国の経済活性化へと繋がるのである。

一国の為ではなく各国の為に

 そんなキーワード(合言葉)の元、経済対策チームは各国混同のチームとして結成された。そんな彼ら彼女らは対策室で立案することもあれば各国へのデータ調査を行い、日々を過ごした。そんな中、自然と仲も良くなる。知っている相手となればその相手の国も救いたくなる。自国だけではなく、他国も一緒に救う……それは前記の合言葉「一国の為ではなく各国の為に」を自然と考えるようになった経済対策チームの目指すべき未来であった。なお、対策チームに協力を行った経済専門家の方々には鍋の国出身者も多く、ちりんの鍋で交流食事会を行い、各国の食材交流などの交流の場になったのが各国の為に頑張ろうという気持ちを持つようになったキッカケ……だったのかもしれない。

#ちりんの鍋
#*ちりんの鍋の特殊能力1 = ,,この鍋で作った鍋料理は文句なしにうまく、食べた人は健康になる。
 ⇒(急ぎの仕事だけど、無理せずしっかり栄養を)
#*ちりんの鍋の特殊能力2 = ,,この鍋を囲んでいる所では思わずおなかがすいてしまい、悪いことをする気が無くなってしまう。
 ⇒(自国だけの利益じゃなくて、皆で)
#*ちりんの鍋の特殊能力3 = ,,この鍋を一緒に囲んだものはそれまでより少し仲良しになれる。
 ⇒(友人の国も一緒に救おう)
#*ちりんの鍋の特殊能力5 = ,,これらの効果は鍋好きほど効果が高い。



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