SS【経済専門家としての活動記 / 銀内 ユウ】

「食事の内容は士気に関わる問題であり、そして身体だけでなく心の栄養でもある」
2011-05-12 00:49


「熱そう……ですね……」

 真横で参列者の列に並んでいる女の子……もとい女性が手元の資料をうちわ代わりにしながらやや、だるそうに呟いた。涼しそうな格好ではあるが、それでも西国と南国の暑さはこれまた別物ということ……ってああ、そういうことか。彼女の目線の先は屋台の鍋料理の数々。まぁもちろんの事ではあるが、別に鍋の国だからといって屋台の料理が鍋料理だけ……というわけではない。実際優斗君が好きな屋台メニューはフランクフルト……あれは別に鍋料理じゃ……アー、まぁ、鍋の国以外で真夏の昼間に熱い鍋を食べる習慣はないだろうから……そういう意味じゃあ、まぁ、見ただけで熱いんだろうね。

「あのー、銀内さん。勉強会の後の昼食の事なんですけど……」

「ああ、それは大丈夫。他国の人に熱い中での熱い鍋は微妙だろうから、それ以外の食事を用意しているので、大丈夫だよ。鍋料理でも冷やし鍋とかもあるし、そこは配慮してます。うん」

「はい、助かります……」

 個人的にそれで失敗したからね。経済専門家の皆さんが対策チームの検討会とか勉強会に鍋一式持って行こうとした時も再三注意している。鍋食べるなら皆で美味しく頂ける環境作りも大切なのである。いや、まぁ、今日の勉強会の会場の書庫内はクーラー聞かせているし、熱い鍋でも行けるかもしれないので冷やし鍋とは別に熱い鍋や鍋以外の各種料理もメニューに入れているから大丈夫だけどね。

「……それにしても、何故、勉強会の前に参拝を行うのですか?」

「天神様は勉強の神様だしね。それにお膝元で勉強会をするから宜しくお願いしますな挨拶は大切だよ」

「なるほど……」

 もっとも、そうじゃない時も鍋っ子は参拝するけど……まぁ受験勉強とか(一般的な鍋の国民)銀内号を製作するときとか(個人的な事例)なんかするときはまずはお祈りだよね。

#鍋の国天満宮の特殊
#*鍋の国天満宮の神威 = ,,ここで祈りをささげ、努力した者が判定する時、知識判定に+修正がある。このエリアでは神威が及ぶ



 鍋の国天満宮への参拝が終わった勉強会メンバーは勉強会会場である銀内書庫へと向かった。今回のメンバーは鍋の国の経済専門家の面々と一部の各国の経済関係者の皆様。といってもさすがに各国の重要人の方々の参加は別の勉強会となっている。また警備を考えて本格的な勉強会はしっかりとした場所で行われる予定である。今回は勉強会の前段階の勉強会と言える為、あえて、ここを選んだ。いわゆる事前勉強会である。

本格的に経済について教えるならば民間施設というか、個人施設ではあるが、銀内書庫が適任なのである。その為、ひそかに行う勉強会の場として銀内書庫を利用する事にしたのである。もちろん警備はしっかりしているし、人数も小人数。実際に本格的に経済対策チームが組まれた際にはもっとしっかりとした警備、広さのある場所での勉強会が必要になるだろうが、現時点ではまだまだ初期段階と言える。そして初期段階だからこそ、勉強の仕方やより良いレジメを作るのに銀内書庫は最適である。書庫に使える参考書があればそれを使うのもいいし、クーラーだって配置しているから南国の暑さにも対応できるからね……。

#銀内書庫
#*銀内書庫の知識補正 = ,,歩兵,条件発動,(調べ物をするときの)知識、評価+2。本棚にはいろいろな本がそろっている。
#*銀内書庫の指導能力 = ,,この施設では、着用アイドレスに関連したことを人に教えることができる。※銀内 ユウのT17着用アイドレスは南国人+ビジネスマン+パイロット+経済専門家+星見司2
#経済というかビジネス評価を求める計算((知識+幸運)÷2)に知識が重要。天満宮のお祈り大事。










「出迎えた相手が親しければ親しい程、愛しければ愛しい程、嬉しい事である」
2011-08-02 0:25

「それでは、共和国全体経済政策案としては、これにて決定で宜しいですな?」

 議長の言葉に頷く面々。これで経済対策チームとしてのお仕事も一段落である。まぁ、まだ各国の経済政策へのフォローとかが残っているけど、こう、形になってきているよっていうカンジがするからいいよね。

「では、本日の会議は終了になります。この後は交流会としてささやかながら、軽食パーティーを用意しています。お暇な方はどうぞご参加ください」

 議長の言葉にその場から食堂へと移動する者、すぐに帰る者、それぞれである。まぁ、各国の代表の人なんかは特に対策チームで忙しいだけでなく、国元は国元で経済関係のお仕事で忙しいだろうしねぇ。

「うぅーん、終わった〜。お疲れ様です。銀内ちゃんは今回どうするんですか?」

「んー、今日はちょいっと約束しちゃったんでゴメンねー」

 最初の頃は「銀内さん」かつ丁寧な言葉で彼女も話しかけてきてたよねぇと思ってると彼女の顔が急にニンマリと表情を変えた。

「や・く・そ・く? ねぇねぇ、銀ちゃん。そのお相手は?」

 わかりやすい子だなー。このラブ大好きっ子め。

「まぁ、予想通り?」

「キャー。もうラブラブなんだから!」



 なんでそんなに嬉し……いや、まぁわかるけど、人のコイバナはそれはそれで面白かったりするしね。

「ハハ、じゃあ、今度の検討会で」

「ええ、じゃあね、銀ちゃん。お幸せにー!」

 彼女は手をブンブンと振りながら食堂へと歩いて行った。手を振りかえすと、荷物をもってこの国の飛行場へと向かう。今日はお出迎え付きだ。




 その青いカラーリングは大空を翔ける翼……ってまぁ文字通り本当に翼なんだし、例えるなら大空を描ける青、大空を翔ける翼とかけて見るのもいいかもしれない。

 そんな銀内号の前にいるのは相方、相棒、恋人……夫はまだ指輪というか式前って意味では早いかもしれないが、派生にノーズアートは奥さん(イベント)があるのであえて、夫も加えさせてもらおう……。

「どうかしました?」

「ん、いや、何でもないというか、うん。旦那と子供にお出迎えしてもらうのもいいよねぇって思ってた」

 二人して笑うと早速抱きつき。これぞ帰ってきたというカンジである。

「あれ? その荷物はなんですか?」

 出発した時には持っていなかったお土産に目ざとく気づく優斗君。出発時には持っていない手提げ袋に入っているこの品、中身は各国の花火の詰め合わせである。前回まで行っていた資料作成「各国の市場における製品の品質と価格調査」のデータとしてサンプルとして購入された物の一つである。サンプルは資料がまとまった後は特に必要がなくなるので希望者がもらっているのである。それで花火を優斗君へのお土産として持ち帰ったというそんな経緯がある。

「んー、色々省略すると花火、お土産だよ。資料として使ってたんだけど、その作業終わったからもらって帰ってきたんだ」

 そう言いながらも袋から花火を取り出す。いわゆる典型的な手持ち花火のセット。夏におうちで花火するという時に使われる一般的、定番的な花火セットだよね。

「へー、花火とは風流ですねぇ」

「確かに、そうだねぇ」

 といっても経済高騰を考えると娯楽品は売れにくい、買いにくい。まぁ、あえて値段をいうのも無粋であろう。

「……じゃあ、おうち……飛行場で花火でもしようか? どうせなら銀内号も一緒ってことで」

「そうですね、じゃあ行きましょう。」

「うん」

 今日は帰りの夜空をランデブー。花火は後で政庁にもお土産として半分置いておこう。

#銀内号の特殊
#*戦術戦闘機”銀内号”の必要パイロット数 = ,,パイロット1名。
#*戦術戦闘機”銀内号”の搭載能力 = ,,後席に1名搭載可能。(お出迎えも大丈夫)
#*戦術戦闘機”銀内号”のアタックランク = ,,AR18。
#*戦術戦闘機”銀内号”の特殊移動能力 = ,,一航路移動をAR4で行える。



★鍋の国会議室ログより抜粋
 * ロン > 今日は花火だったので花火を置いておこう つ線香花火 パチパチ (8/1-23:02:45)









「経済政策は誰の為? と言われたならば、皆の為と答える。それが私達経済対策チームなのです」 
2011-09-15 23:54

「……よし、以上で各国の経済修正案は終わり! それじゃあ、各国にこの検討案を持ち込み、検討してもらうので本日の会議は終了」

「おわったぁ……」

 議長の言葉に一息をつく面々。というか終わった……。いやまぁ、修正案を見た各国との経済政策相談会とか、まだそういうのが残っているし、国によっては修正案の第二稿、第三項が必要になってくるからまだまだなんだけどね。そのあたりは微調整だし、まだまだ時間はかかるかもしれないけど……例えるならゲームでいうデバック期間。開発期間である経済政策の案が完成したという意味じゃあ発売が近い、つまりはゴールが見えてきたといったところであろう。

 後は各国へ持ち込み、修正案を各国首脳陣と相談しつつ作成。完成に近づけるだけである。ということで次のお仕事はまぁ、各自それぞれ、自国での説明会だね。自国の事は自国民が一番知っている事だし、実際に説明して微調整するのも、また自国が一番といったところである。




/*/



「にゃー」

 ドアの向こうから王猫様らしきにゃき声が聞こえる。そんな声をバックBGMにドアをノックでコンコンコン♪

「はーい」

「失礼しまーす」

 部屋の中には王猫様と藩王であるミサさんが紙の資料と格闘中。ミサさんが机の上の書類にハンコを押して処理済みの束へと投げ込む。たまに狙いが外れて机から落ちてきた書類を王猫様が口で持って回収。机の横にセッセと集めているようだ。

「ただいま戻りましたー」

「あれ? 早いですね、今日は」

「えへへ、ハーイ、お待ちかねの物になりまーす」

 手元に持っている鍋の国政策修正案の資料を渡す。

「精査と改良案もばっちりですね…ありがとうございます経済専門の人!よーしがんばるー」

「にゃー」


さぁ、これからは各国の仕上げの作業時間である。

次のページへ>>